生成AIが文房具のように当たり前になった今、本当に大事なのは「どう使いこなして自分の仕事を楽にするか、楽しくするか」です。このPrompt Engineering Business Labが目指しているのは、まさにその一点――生成AIをどうやって明日からの仕事でリアルに役立てるかという実践的な答えを提供することです。
今回は、私が最近特に「サイトのコンセプトを体現している」と実感した議事録作成の自動化について、実際に使っているプロンプトとともにご紹介します。
なぜ議事録作成の自動化が革命的なのか
会議の議事録作成は、多くのビジネスパーソンにとって避けては通れない、しかし非常に時間のかかる作業です。会議中にメモを取り、終わった後に整理して、決定事項やToDoをまとめて、関係者に共有する――この一連のプロセスに、毎回30分から1時間以上かかっていませんか?
プロンプトエンジニアリングを活用すれば、この作業を数分で完了させることができます。会議の録音データを文字起こしアプリに投げて、出てきたテキストをAIにコピペするだけ。これだけで、あの面倒で時間のかかる議事録づくりから解放されるのです。
単なる要約ではない、構造化された議事録
ここで重要なのは、AIに「ただ要約してください」と頼むだけでは不十分だということです。プロンプトを少し工夫するだけで、AIが超優秀なアシスタントに早変わりします。
- 決定事項の抽出:曖昧な議論の中から、確定した決定事項だけを明確に抜き出す
- アクションアイテムの整理:誰が、いつまでに、何をするのかを明確化
- 議論の流れの構造化:主要な議題ごとに、どんな議論があったかを整理
- 次回までの宿題の明示:未解決の課題を次回に持ち越す内容として整理
これらすべてを、プロンプト一つで実現できるのです。
実際に使っているプロンプトテンプレート
ここで、私が実際に使用しているプロンプトをご紹介します。このプロンプトは、サイトで学んだ「役割設定」と「構造化出力」のテクニックを応用したものです。
プロンプトの全体構造
# 命令書
あなたは、プロの書記です。以下の会議の文字起こしテキストを読み、指定されたフォーマットで議事録を作成してください。
# フォーマット
- **会議名:**
- **日時:**
- **参加者:**
- **決定事項:**
- (箇条書きで簡潔に)
- **ToDoリスト:**
- - [担当者] 〇〇さん
- - [タスク] △△を□□する
- - [期限] YYYY/MM/DD
- **議論の要点:**
- (主要な議題と、それに対する議論の流れを要約)
- **ネクストアクション:**
# 文字起こしテキスト
{ここに文字起こしテキストを貼り付け}
このプロンプトを会議の文字起こしテキストの前に貼り付けるだけで、AIが自動で情報を整理してくれます。
プロンプトの設計ポイント
このプロンプトには、効果的な議事録を生成するための重要な要素が含まれています:
- 明確な役割設定:「プロの書記」という役割を与えることで、AIに議事録作成の文脈を理解させる
- 構造化されたフォーマット:出力形式を明確に指定することで、一貫性のある議事録を生成
- 実用的な要素の分離:決定事項、ToDo、議論の要点を分けることで、読みやすく実用的な形式に
- 担当者と期限の明示:ToDoリストに担当者と期限を含めることで、アクションアイテムを明確化
プロンプトエンジニアリングの実践的価値
このプロンプトを使うと、会議が終わった瞬間に、ほぼ完成形の議事録が手元にあるという状態を実現できます。これは単なる時間短縮以上の価値があります:
作業時間の劇的な短縮
従来の方法では、1時間の会議に対して30分〜1時間の議事録作成時間が必要でした。このプロンプトを使えば、文字起こしテキストをコピーしてAIに投げるだけで、2〜3分で構造化された議事録が完成します。
- 作業時間:30〜60分 → 2〜3分(90%以上の時間削減)
- 精度:手作業での漏れや誤りが激減
- 一貫性:常に同じフォーマットで出力されるため、読みやすさが向上
仕事の質とスピードの両立
まさに、プロンプト一つで仕事の質とスピードが変わるという良い例です。時間短縮だけでなく、以下のような質的な向上も実現できます:
- 重要な決定事項の見落としが減る
- ToDoが明確になり、実行率が向上
- 議事録の共有スピードが上がり、チームの生産性が向上
- 会議参加者が議事録作成を気にせず、議論に集中できる
応用と発展:さらに使いこなすために
この基本プロンプトをベースに、さらに自分の業務に合わせてカスタマイズすることができます。
業種・職種別のカスタマイズ例
プロジェクト管理の場合:
- 「リスク事項」セクションを追加
- 「予算影響」セクションを追加
- 「進捗状況」を含める
営業会議の場合:
- 「商談状況」セクションを追加
- 「見込み金額」を含める
- 「競合情報」を分離
技術会議の場合:
- 「技術的課題」セクションを追加
- 「検討すべき代替案」を含める
- 「技術スタック」の情報を整理
プロンプトライブラリの構築
このような効果的なプロンプトは、組織の貴重な資産です。以下のように管理することで、チーム全体の生産性を向上させることができます:
- テンプレート化:よく使うプロンプトをテンプレートとして保存
- 共有とフィードバック:チーム内で共有し、改善提案を募る
- バージョン管理:改善履歴を記録し、効果測定を行う
- カテゴリ分類:会議タイプ別にプロンプトを整理
今日から始める実践ステップ
この議事録自動化は、特別な技術知識がなくても今日から始められます。以下のステップで実践してみてください:
- 文字起こしツールを準備:Googleドキュメントの音声入力、Otter.ai、Notionの音声メモなど
- 次の会議を録音:参加者の許可を得て、会議を録音または文字起こし
- プロンプトを試す:上記のプロンプトをコピーして、ChatGPTなどのAIに投げてみる
- 結果を確認し調整:出力された議事録を確認し、必要に応じてプロンプトを調整
- 継続的に改善:使いながら、自分の業務に最適化していく
まとめ:ちょっとした工夫で劇的に変わる体験を
議事録作成の自動化は、プロンプトエンジニアリングの実践的な価値を体験できる最高の事例です。理論や難しい話も大事ですが、それ以上に「実際にどう使うの?」という疑問に、具体的な答えを提供できることが重要です。
このような「ちょっとした工夫で劇的に変わる」という体験を、これからもこのサイトを通じて皆さんと共有していきたいと思います。生成AIは単なるツールではなく、適切なプロンプトを通じて、あなたの優秀なビジネスパートナーに変わるのです。
まずは今日、次の会議で試してみてください。その効果に驚き、明日にはもっと多くの場面で活用したくなるはずです。プロンプトエンジニアリングの力で、あなたの働き方を根本から変革しましょう。